【この組曲について】
この作品は、はじめから組曲として発表されたものではありませんでした。
この組曲の第4曲目にあたる<地球に寄り添ってーセンスオブワンダー>が1997年に(BMG制作の「新・合唱講座ジュニア版」)、そして2000年の音楽之友社制作の「21世紀合唱名曲選」を期に組曲として完成させたものです。
この作品のテーマは最後の「地球に寄り添ってーセンスオブワンダー」に象徴されるように、「宇宙の不思議に心を開けば/宇宙の不思議が窓を開く」・・・・。まさに自然、宇宙、それらに五感を働かせ心を馳せるなら、そこから多くのものを発見し、新しい世界を感じることができる・・・・、ということが言えると思います。作詩者の片岡輝先生は静かな目で、そして熱いメッセージを込めてこれらの詩を書かれました。
【グリーン・メモリーズ】
「緑の黙示録」と副題のついたこの作品は、緑が暗示する生命というものの存在、かけがえのないもの、「緑の記憶が途絶えるとき/生命の円環も幕を閉じる」、いわば生命の代弁者としての緑を謳っています。詩の持つドラマ性、そしてスケールの大きさ、メッセージ性、それらを私なりに理解し作曲しました。
曲の冒頭から「フォー・エバー・グリーン」と歌いだしますが、この言葉は実際は歌詞の最後にある言葉でした。それを片岡先生のお赦しを得て最初に持ってきました。そのことで詩を目の前にし、腕組みをして「さて・・・?さて・・・?」と悩んでいたのでしたが、この「フォー・エバ・グリーン」と歌いだすことで作曲の突破口が開けたような気がしたことを覚えています。
詩の世界は幻想的であり雄大です。このイメージを実感するために、大自然の写真集を観たり、また「人類創世」という「古代人」の登場するビデオを観たりもしました。そうして詩の世界で表されている世界を私なりに実感しようとしました。
詩をひと通り読むと、何となくその世界が見えるような気がします。様々なシーンがあります。そのシーンのイメージを具体的にして行く中で、曲も自然と曲想の変化を伴うものとなりました。
これを演奏する時はどうか詩の持つ世界を、例えば映像をイメージして下さい。「幻の丘の上〜」もそうですし、「夢見心地の中〜」「原始 溶岩の〜」「芽がおずおずと〜」・・・さらに「森の木はじっと」など、書き出せばキリがありません。そうした具体的なイメージの中で、音楽は最後に向かって進みます。
「まだ間に合うかもしれない」そしてラスト「フォー・エバー・グリーン」と、まるで祈るかのようにして曲を閉じます。
この作曲ではたんに詩に付曲したというのではなく、ひとつのドラマを演出したと思っています。そうした詩人、そして作曲の意図を汲んで下さり、演奏者はその書かれたドラマを演ずるようなつもりでどうか演奏していただきたいものと思います。 2005年5月7日
作品について
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