詩 集
<詩集>というには恥ずかしながら、これらの詩は作曲を目的に作ったものです。
ここでご紹介するのは既に付曲済みのものです。

詩/鈴木憲夫

1.想い出(試聴可)
2.ひとひらの花びら
3.ねこ
4.
5.うそ(試聴可)
6.縁(視聴可)
7.めぐりあいの中に(試聴可)
8.ピエロという名のピエロ(試聴可
9.でんせつ(試聴可)
10.星の降る丘(試聴可)
11.宇宙(アメノシタ)のもと(試聴可)
12.ひかる地球(ほし)

*著作権協会に作品登録してあるものですので、転用、転載等についは著作権が発生しますのでご承知おき下さい。

                             
「その2」=未作曲の詩⇒

1.想い出新編「茜の空に」(女声合唱)より       試聴(Listen to sample)   

人はみな想い出作って生きているんだ
 想い出はいつまでも心の奥で消えることはない

あなたと出会えてよかった
たくさんの想い出をありがとう

  想い出は心のアルバム
  だれも見ることのできない
  たった一冊の自分だけのアルバム
  あの時のあなたが・・・あの時の私が
  変わらずいつまでもそこに居る

  森深くたたずむ一本の木に
   小鳥が巣を作り
   風に運ばれた種子(たね)が根をおろし
   虫が棲む家とし
   小さな生き物たちが実をついばみ
  雨の日も風の日も
  ともに語らうように身を寄せて・・・
  何という出会いの不思議
  何という生命
(いのち)の不思議
  その同じ不思議さで私たちは出会い

  そして同じ時間を生きているのです

人はみな想い出作って生きているんだ
 想い出はいつまでも心の奥で消えることはない

想い出の数だけ出会いがあり
 想い出の数だけ別れがあり
想い出の数だけあなたがいる 
 想い出の数だけ私がいる


2.ひとひらの花びら旧版「茜の空に」(女声合唱)より

ひとひらの花びらが 風にゆられて散った
少しづつためらいながら ヒラヒラと落ちてゆく

その花は美しく咲き終えた花だったのか
それともこれから咲こうとしていたのか

 風は花の色を染め
 香りを伝える

風は忘れない
たとえひとひらの花びらでも
春の日に美しく咲いていたことを

 風は忘れない


3.ねこ=女声(同声)合唱組曲「ことわざうた」より

「猫に小判 猫にまたたび」
「猫が肥えれば鰹節やせる」

ねこはわがまま ねこは気まぐれ

ねこは一日中寝てばかり
寝てばかりいるけど
人の話をしっかりと聞いている
そして夜になると会議をする
でもねこは何んにも考えてはいない

猫の手を借りたい時もあるけど
でもじゃま
(ねこの手)じゃま

「猫に小判  猫にまたたび」
「猫が顔を洗えば雨」

 ねこかぶり ねこもしゃくしも
  ねこのくびにすず ねこばば
   ねこだまし


4.=女声(同声)合唱組曲「ことわざうた」より

「親は千里を行くとも子を忘れず」
「親おもう心にまさる親心」

 寒さに凍えし時は
 その着たるものを脱ぎて 子を包み
 ひもじき時は
 飢え 口やせても 子に与えん

子が苦しみ悩む時は
子の身に代わらんことを念
(おも)
死に去りて後も
子の身を護らんことを願う

「親は千里を行くとも子を忘れず」

大意は「父母恩重経」をもとに作詩


5.うそ=女声(同声)合唱組曲「ことわざうた」より      試聴(Listen to sample)


「うそをついたら地獄におちる
うそをつかねば仏になれぬ

うそも方便

うそつきの世渡り上手
うそから出たまこと

うそをついたら地獄におちる
うそをつかねば仏になれぬ

うそも方便」


6.=女声(同声)合唱組曲「ことわざうた」より        試聴(Listen to sample)

あなたと前に
どこかで会ったことが
あるかもしれない

「袖すり合うも他生の縁」

またいつか
どこかで
あなたと
出会うことがあるかもしれない

それが今のわたし
今のあなたでなくても

またいつかどこかで
めぐり会える

どこかで
 きっと・・・


7.めぐりあいの中に=旧版「茜の空に」(女声合唱)より   試聴(Listen to sample)

やさしき人との出会いは やさしき心を 生み
素晴らしき めぐりあいは 人のまごころを 薫る

喜びも 時に 悲しみも
めぐりあいの中に
人を 彩り

めぐりあい
それは
 くりかえし
風が 花びらを 運ぶように
時を めぐる

だから 人は
美しき ひとときの ために
また
めぐりあう


8.ピエロという名のピエロ=新編「茜の空に」(女声合唱)より
                                 試聴(Listen to sample)

ピエロという名のピエロ
ピエロは哀しかった
歌の唄えないピエロは哀しかった
心の中は 溢れるばかりの歌で満ちているのに
歌の唄えないピエロは哀しかった

両手を上げて 口をふるわせながら
唄おうとすればするほど
人々はそれを見て笑った

ピエロは哀しかった

しかしピエロは信じていた
いつか自分の歌が
人々に聞えるだろうと

ピエロという名のピエロよ
花は唄うことはしない
花を見て 人は歌を唄うのだ

ピエロよ
ピエロという名のピエロよ
心の中に 歌が満ちているのなら
その喜びを唄うがいい
静かにほほえみながら唄うがいい
その時 人ははじめてピエロの歌を聞くだろう
心に ピエロの歌が響くだろう

だからピエロよ
ピエロという名のピエロよ
いつまでも 心に歌を満たして 
唄い続けるがいい 
いつか かならず届くのだから



9.でんせつ=合唱とピアノのための「民話」(女声版・混声版)より 試聴(Listen to sample)


むかしナー あるところにナー
体の大きな男がおってナー
こころはやさしく
村のだれからも好かれておったと
ぼうぼうとのびた頭には
鳥たちが巣をつくり
まるで動く山のようだったと・・・・・・子供たちと いつも一緒で
まいにちが楽しかったと
でも 男には
  大きな体が悲しかったと・・・・・・

ある大雨の夏
山くずれが 村を飲み込もうとしたとき
男はひとりで 村を守ろうとしたと
くずれる山に両手をひろげ
ながれる土にうもれながら
男は村を 村のひとたちを 守ろうとしたと
そして 幾日も 動かなかったと・・・・・

やがて 山しずまり
男は 力つきて
そのまま そのまま 動かなくなったとき
男は最後の力をふりしぼるように
村をふりかえり
そして 幸せそうに笑ったと
うれしそうに うれしそうに笑ったと・・・・・
村のだれもがその顔を
けっして 忘れなかったと

山になった男は
今でも あの やさしい顔で
村を見守っている・・・・とさ 


10.星の降る丘=混声合唱組曲「永久(トコシナ)ニ」より  試聴(Listen to sample)


 星の降る丘で母と子が夜空を見上げていました
 ー人が神とともに在った時代ー
 星は人の子と大地の上に降りそそぎ
  母は平和を祈り 子は未来を夢みる
    時は静かに流れ 
      星はただじっと人と人の世を照らしている

 ー人が人しか信じなくなった時代ー
 星の降る丘で母と子が夜空を見上げていました

 ー人が神を喪(な)くした時代ー
 星の降る丘で母と子が夜空を見上げていました
  
何千年も何万年も変わらぬ星の輝きのもとで
    何が変わったというのか 
     何が変わらぬというのか
  人の上にそして人の世の上に

  星の降る丘で母と子が夜空を見上げていました
 ー人が人として地上に生きる意味を悟(し)った時代ー
  星は人の子と大地の上に降りそそぎ
   母は平和を祈り 子は未来を夢みる
    時は静かに流れ  
      星はただじっと人と人の世を照らしている



11.宇宙(アメノシタ)のもと混声合唱組曲「永久(トコシナ)ニ」より
                                 試聴(Listen to sample)

  山よ 川よ
 水よ 雲よ 風よ
空よ 海よ 大地よ
 そして人よ
それら記憶のすべてに
生命
(いのち)は満ちゐたり

宇宙(アメノシタ)のもと 
   生気は遍
(あまねくく)充満(み)
  宇宙のもと 
   生と死は無限に点滅を繰り返し
 流れゆく川のごとく
     始まりもなく終わりもなく

 宇宙のもと     
  心を澄ませば       
   聞こえる        
    声が聞こえる    
顕 見(ウツシキ)蒼 生(アオヒトトキ)
              木(ク)の花ノ如ヒ(アマイ)
              俄
(シバラク)ニ 遷転ヒ(ウツロイ)
              衰去
(オトロエ) 終(カムサリ)マシ
 すべての生命の声が    
  聞こえる         
                
山よ 川よ
 水よ 雲よ 風よ
空よ 海よ 大地よ
 そして人よ
それら記憶のすべてに
生命を湛えよ

    永久
(トコシナ)に 永久(トコシナ)
 
         
*この世に生きていることは木の花のようにわずかな間うつろい、
            
やがて生命が衰え消え去ってしまうということだ。(日本書紀より)


12.ひかる地球(ほし)

ひとりの人がろうそくを灯しました
 明るくなるのは
  ひとりの人の居るところ
ふたりの人がろうそくを灯しました
 明るくなるのは
  ふたりの人の居るところ

みんなでろうそくを灯したなら
 その数だけ明るくなる

ひとりの人がろうそくを灯しました
 すべてはそこからはじまる


 ポッポッポッ
 ろうそくを灯すように
 心に明かりを灯したなら
 地球のみんなが灯したなら
 宇宙の中にポッカリと
 まぶしい もっと まぶしい
 地球が浮かびます


    演奏データ
1.想い出・・・合唱:潮の音合唱団/指揮:潮千代子/ピアノ宇都瑠音
5.うそ・・・合唱:小山児童合唱団/指揮:荒井弘高/ピアノ:細田秀一
6.縁・・・合唱:コールベル/指揮:鈴木憲夫
7.めぐりあいの中に・・・同上
8.ピエロという名のピエロ・・・合唱:大阪ハインリヒ・シュッツ室内合唱団/指揮:当間修一/ピアノ:沖田明子=尚このCDは市販されています。お問い合わせはhttp://www.collegium.or.jp/まで。
9.でんせつ・・・合唱:コールベル/指揮:鈴木憲夫
10.星の降る丘
11.宇宙(アメノシタ)のもと・・・合唱:大阪ハインリヒ・シュッツ室内合唱団/指揮:当間修一/ピアノ:沖田明子・木下亜子


                          「その2」未作曲の詩