健康にいいこと
 健康に一番いいことは?の問いに皆さんはどう答えられるだろう。運動?食事?・・・・・・一番は何と言っても「心が活き活きすること」、最近そんな気がしている。先日、福井県の若狭に演奏会のために出かけた。家を出る時、少し風邪気味だったので家内は心配をしながら私を送り出した。しかしである。自作を指揮するコンサートだったから楽しくないはずはなく、思い存分夢中にやって終わってみれば体の不調などどこ吹く風、家に戻った時には以前よりも元気になっていた。
「楽しい」という語源は「手伸し(てのし)」、母の胎内で子供が手を伸ばす、つまり縮まっているものを伸ばす「てのし」それが「たのし」になったそうだ。楽しいことをすると心は活き活きする。生命力の根幹とどこかで直結しているのだろう。病は気からとはよく言ったものだ。 
 小説の話だが悪徳医師が患者を殺そうとする。手口はただ「これは死病だからもう助からない」と毎日毎日耳元でささやく、終いにはとうとう死病に取りつかれるというものだった。これは満更架空の話ではないかもしれない。 
 何にしても楽しく打ち込めるものを持っている人は若々しい。元気でいつも若々しいあるご高齢の方にその秘訣を聞いた。曰く「マイペース」。あっそうか「ワガママ」なことネ、と勝手に決め込んで、そう言えばあの人もこの人もと指を折る。ウーン納得。
               東京新聞ショッパー(埼玉地域)2000年4月号より
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