「退屈」と「想像力」
 原始の時代より人は絵を描きました。日々の糧となる行為とはまったく別なものなのに、人は絵を描きました。もちろん歌も唄ったでしょうし、夜空の星をみては想像のかぎり物語も作ったでありましょう。人は何をかを表現せずにはいられないのです。

 人は「退屈」を嫌う動物とも言えます。「退屈」を嫌いその「想像力」のもとで人は社会を、文明を進歩させてきたと言っても過言ではありません。想像力とはおよそ人の持ち得るものの中でかけがいのないものです。そこに楽しみと喜びを見いだすとしたら、更に絵を描く楽しさ喜びがいかほどに喜び溢れんとしているか、画面より察(み)ることができたとしたらそれは何と素晴らしいことでしょう。

 作り手側の「思い」があればあるほど、人には必ず伝わるはずです。「思い」がなければ何も伝わらないのです。どれほどうまく描かれているか、に私は期待しません。そうした「思い」に満ちた作品に出会えることを楽しみにしています。
                02年6月・友人の画塾の展覧会パンフレットのために