混声合唱曲集
ほほえみ
・憧れ・朝に・ねんねんねっころやまのネムのはな・めぐりあいの中に→
・茜の空に→
この曲集に収められている作品の殆どは女声合唱として既に発表・刊行されたものです。
「憧れ」
「ねんねんねっころやまのネムのはな」
「朝に」は「鈴木憲夫抒情小曲集」より、
「めぐりあいに中に」は旧版「茜の空に」より、
「茜の空に」は曲集「茜の空に」より、それぞれ採っています。
 ただし「ほほえみ」はこの曲集が初出となります。
 この作品は指揮者の辻正行先生の古稀のお祝いのために作られました。02年の7月21日に東京文化会館にて600人の合唱でご披露されました。女声版も同時に作られましたが、現在(04年1月)は未刊です。
 辻先生も気に入って下さり、辻先生関係のコンサートではアンコールでよく取り上げて下さったようでした。この曲集の準備をしていた頃、03年11月1日に辻先生はお亡くなりになりました。
 この曲集のタイトルを「ほほえみ」としましたが、これを亡き辻正行先生へ捧げるつもりで上梓しました。

         
上の写真は03年7月、清里の合唱セミナー打ち上げでの時の写真。このセミナーでは参加者全員で「ほほえみ」も歌った。中央:辻先生、前列左:飯野淳也先生。 

        当ホームページHP通信No.49/11.7より
  11月1日に指揮者の辻正行先生がお亡くなりになりました。その日は女声合唱団「瑞季」=みずき=のコンサートでした。
「地球に寄り添って」が演奏され、そのアンコールで昨年辻先生の古稀のお祝いのために作曲した「ほほえみ」が歌われたのでした。心に残るコンサートでした。
 その打ち上げの最中に携帯電話に辻先生の訃報が入りました。突然の訃報に言葉もなく、会場を少し離れたところで一人タバコを吸いながらしばし茫然としてしまいました。打ち上げ会場はすっかり盛り上がっており、私に「ほほえみ」を指揮してくれ、と。「最後にね」ということで勘弁してもらい、「瑞季」の指揮者、相良文明先生に辻先生の訃報を告げました。相良先生も辻先生とはご縁のある方です。

 会も終りになる頃、いよいよ「ほほえみ」。拍手で迎えられ前に立った私は、団員の皆さんに辻先生の訃報をお伝えしなければなりませんでした。一様に驚きと衝撃の声が洩れました。皆さんで先生のご冥福をお祈りし、さあ「ほほえみ」、しかし「涙はなしにしよう」、と歌いだしました。指揮をしながら涙が込み上げてきます。途中から相良先生がポロポロと涙を流しはじめました。伝染するように涙は広がっていきました。忘れられない日となりました。

 4日はお通夜、5日は告別式でした。宗教色のない清楚で厳かな、辻先生を偲ばせる心あたたまるご葬儀でした。ご出棺の折、会場を取り巻いていた大勢の人たちの中から誰ともなく「ありがとう辻先生!」という声が飛び交い、拍手がわき起こりました。私たちは拍手で辻先生をお見送りしたのでした。

 辻先生との想い出、そして絆を得た人は一体どれくらいいるでしょう。おそらく数えきれないに違いありません。
私もその一人です。指揮者としての辻先生はもちろんながら、素晴らしい人間を識(し)り触れ合えた、そして辻先生という人そのものから教わることの大きかった喜びを、私は今かみしめています。想い出は尽きません。

 辻正行先生のご冥福を心からお祈りするばかりです。合掌
以上HP通信より・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 女声合唱とは違った混声の世界で、これらの作品が広く愛され、歌われることを願っています。

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